少女の体がより透明になったことに二人は気が付く。
「そろそろだね、どこか行きたい場所があればご案内するよ」
「…いいの?それなら…」
「この街をぐるりと回って…最後に、見渡せる場所に」
ヒュトロダエウスは微笑むような仕草で頷き、二人はベンチを後にする。
二人はアーモロートの街並みを歩く。
アカデミア、創造物管理局、議事堂の入り口…。
少女は古代人に興味深げに眺められ、ヒュトロダエウスの後ろに隠れる。
最初は緊張するが、次第に打ち解けていく。
最後にエレベーターに乗り、テンペスト上層に。
少女は手を引かれながら、アーモロートの街を見下ろす。
「ありがとう…海の底の、美しい都の人」
ヒュトロダエウスが振り返ると少女は消えている。
「こちらこそ…どうか、良い眠りを」
ヒュトロダエウスはその場に蹲り、祈る。
エレベーターの扉まで戻り、ふと振り返り見上げる。
そこには海面から降り注ぐ無尽光がある。
何かに気づくようにそれを見上げるが、目を閉じて扉に向き直る。
彼が入ったエレベーターの扉が閉ざされる。